19:10キックオフ 横浜国際競技場
【入場者数】45,748人
【天候】曇 8.6℃ 74%
【主審】ホルヘ・ラリオンダ
【副審】アメリオ・アンディノ
ウエンストン・レアテギ
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◇FC PORTO 0−0 ONCE CALDAS◇ (120min+:90min+Ex.30min)
(PK8−7)
【得点者】なし
【警告】FC PORTO:ジエゴ、ジョルジェ・コスタ、セイタリディス/ONCE CALDAS:アランゴ、ファブロ、デニグリス
【退場】FC PORTO:ジエゴ(PK戦)
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今年で最後となるトヨタカップは第25回目を数える。過去の戦績は、欧州チャンピオン12勝、南米チャンピオン12勝と全くのタイ、12月12日の最後の試合で、欧州と南米の雌雄が決する、、、と舞台は揃ったが、今年出場の2チームは歴代の出場チームと比べるとあまり華がなく、世間的な注目度もそれほど高くはなかった。
欧州王者のFCポルトは決して無名のチームではなく、サッカー好きなら誰でも知っているチームだが、昨年までのチームを支えたモウリーニョ監督(現チェルシー監督)や、ポルトガル代表として欧州選手権でも活躍したデコ(現バルセロナ)ら知名度の高い選手がチームを去り、(事実はともかく)スケールダウンしたイメージがある。南米王者のオンセ・カルダスは無名といっても良いマイナーなチーム。南米サッカーに詳しい人でもブラジル、アルゼンチンのチームは知っていてもコロンビアリーグの、ましてや1959年にチーム創設以来、2003年まで国内リーグの優勝経験すらなかったチームを知っている人は、そうそういないはず。かく言う私も今回のトヨタカップ出場が決まるまで存在も知らなかったチームだ。
さて、試合。
立ち上がりは、両チームとも慎重に相手の出方をうかがう静かな出足。そのピッチ上の静けさの影響か、観客席も世界一決定戦とは思えない静けさで、本当に試合がはじまっているのか、と思うような不思議な雰囲気。
しかしスタンドの静けさを尻目に、ピッチ上では間もなく水面下での激しい仕掛けあいがはじまる。元来守備的なチームで南米予選も守りきってのPK勝ちというパターンで勝ち上がってきたオンセ・カルダスは、当然のことながら自らは仕掛けてこない。しかし攻撃面での迫力を欠くとはいえ、南米を勝ち抜いた勝負強さをもつ相手に、ポルトも一気呵成には仕掛けられない。
そんな中、ポルト右SBのセイタリディスが4バックのDFとは思えない高いポジションを基本ポジションとして取り、そこに高いテクニックを誇る右MFのジエゴが絡んで形をつくる。一方のオンセ・カルダスも、どうやら攻めのパターンは左サイドが多いようで、ポルトの右サイドからの攻撃を高い守備意識で受け切っては、対面する左SBのガルシアの縦へのスピードと、左MFのソトのボールキープ力、アジリティを活かしてポルトDFの裏を狙う。
前半の主戦場は、完全にこのサイド(ポルトの右、オンセカルダスの左)。面白かったのがこのサイドで攻防を繰り広げる選手の背番号。ポルトが22番の右SBセイタリディスと16番の右MFジエゴでコンビを形成すれば、一方のオンセカルダスは左SBガルシアが22番で左MFソトが16番。この4人が頻繁に対峙するので、
いっしょに観戦していた友人タケとの会話が『あの16番良いね』『え、ボール持ってる16番?そいつにプレスに行ってる16番?』などと言う、ややこしいモノになっていた。
前半23分には、ポルトの22番と16番がオンセカルダスの22番とセンターバックを引き付け、右サイドにスペースを作る。そこにポルトのボランチ、コスティーニャが流れてクロスを送るという美しいプレーがあった。(中央ヘディングは大きく枠外)
もう一つの前半の見所は、ポルトの最終ラインのラインコントロール。観客席から見ていても初めは『あれ?いつの間に?』と思うようなオフサイドにオンセ・カルダスFWが何度か引っかかっている。そこでポルトの最終ラインに注目してみると、ジョルジ・コスタが絶妙にラインを統率している。単にラインを高く保つのではなく、相手との相対位置でポジションを細かく変えることで、相手をオフサイドに嵌める。もちろんジョルジ・コスタの狙いを以心伝心で理解し、時に厳しくマークにつき時にマークを緩めるペドロ・エマヌエルやリカルド・コスタ、そしてコスティーニャの貢献も光った。
前半を通して感じたのは、ポルトが非常に訓練されたコレクティブな好チームであること。特にオフザボールでの動き、相手の動き、味方の動きに連動したポジション修正でボールに触れることなく相手の攻撃を寸断する守備の巧みさには、日ごろ見ているJリーグの各チームとの明確な差を感じた。『サッカーを知っている』というのはこういうことを言うのだろう。ベースとなる個々の戦術理解度の高さと、それを実践するチームとしての意思統一度の高さは、欧州王者のタイトルがフロックではないことを納得させるに十分なレベルだった。
一方のオンセ・カルダスは、とにかく相手に点を与えない極力決定機を与えないということがチームとして完全に浸透しており、ポルトの巧みなポジションチェンジや、駆け引きにもほとんど惑わされることなく、淡々とリスクのないプレーを選択する。正直、エンターテインメント性に欠けるサッカーではあったが、あそこまで徹底されていると、それはそれで味わい深く思える。
後半も両チームの狙い、見所ともに基本的には同じ。
時間とともにポルトに決定機が何度か生まれるが、幾度となくクロスバー、ポストにシュートを阻まれ、枠内に飛んだボールはオンセ・カルダスGKエナオがスーパーセーブで押さえる。特に、66分のゴールポスト左上角に直撃して跳ね返ったコスティーニャのミドルと、67分のジエゴの突破で得た右CKをリカルドがニアで合わせたシーン(エナオのファインセーブ)は、本当に惜しかった。

しかしこういう展開になると更に守備的になるのがオンセ・カルダス。前半以上に守備的になり、後半戦、延長全後半とスコアレスのまま試合はPK戦に突入。絶対的な守護神エナオを擁するオンセ・カルダスとしてはPK戦はまさにゲームプラン通り。
(写真はPK戦開始直前の両チーム)
それに対して、優位に試合を進めながらも得点を奪なかったポルトは、後半途中にアクシデントで正GKビトール・バイーアを欠いており、PK戦だけは避けたかったはず。
PK戦では、途中出場のポルトGKは動きに落ち着きがなく、細かく左右にステップを踏み全部右に飛ぶのだが、ステップのリズムを見極めたオンセカルダスのキッカーは全て左に決めていく。このGK大丈夫か?と大いに心配したが、ポルトのキッカーも淡々とPK戦を決める。このまま両GKとも1本もセーブすることなく、サドンデスに突入。最後は枠内にボールを蹴れなかった人数(ポルトが1人、オンセ・カルダスが2人)の差で、ポルトが勝利を手にした。
きっとTV観戦の人には凡戦に映ったであろう試合だが、少なくとも私は最後のトヨタカップの120分+αを十分に満喫することが出来た。最高に面白い(エンターテインメント性の高い)試合だったかといえば、もちろんそれは違うがサッカーの奥深さをあらためて感じた一日だった。

試合終了後のセレモニーから。右の写真で空中に待っているのは『ARIGATO TOYOTA CUP』と書かれた銀の丸いシート。